2026年3月26日木曜日

10章17~22節 裕福な青年に対する神の愛の炎

 このお話は誤解されやすい箇所かもしれません。

裕福な青年とイエス様とのやりとりを通して、聖書が何を私たちに伝えようとしているのか丁寧に見てゆきます。

📖17節

イエスが道に出て行かれると、一人の人が駆け寄り、御前にひざまずいて尋ねた。


🌿「駆け寄り」と訳されている語は、全力で走る”ニュアンスで、切迫感や真剣さがこめられています。

これは、抑えきれない衝動に突き動かされている姿です。

  • 何かに追われている
  • 今すぐ答えが欲しい
  • 心の奥で不安が膨らんでいる

こうした切迫感が伝わってきます。


🌿「ひざまずいて」は、崩れ落ちるように膝をつくイメージです。

彼の心が不安と重荷に耐えられず、すでに限界だったことを示しています。

・律法を守ってきたのに、何かが足りないのでは?

・自分の努力では届かないという焦り

・「永遠の命」に対する確信がない

イエスが今ここにいる、この瞬間を逃したらもう聞けない

・いますぐ答えが欲しい

これらの恐れと焦りが、彼を走らせ、ひざまずかせたのでしょう。


📖17節・18節

「良い先生。永遠のいのちを受け継ぐためには、何をしたらよいでしょうか。」

イエスは彼に言われた。

「なぜ、わたしを『良い』と言うのですか。

良い方は神おひとりのほか、だれもいません。」


🌿このやり取りはどういう意味?と思いますね。

「良い」と訳されている語は、神様だけが持っておられる「完全で絶対的な善」のイメージの言葉です。

この言葉を彼が軽く使っているので、

「あなたは私を”絶対的な善”と呼んでいるのですか?

完全に良い方は神だけですよね?

あなたは私を本当に神であると考えているのですか?」と問い直しておられるのです。

🌿次に、イエス様が聖書の戒めを守ることについて触れると、彼は自分が少年の頃から全て守ってきたと答えます。

そして彼を見つめ、いつくしんで言われたのが21節の言葉です。

「あなたに欠けていることが一つあります。

帰って、あなたが持っている物をすべて売り払い、貧しい人たちに与えなさい。

そうすれば、あなたは天に宝を持つことになります。

そのうえで、わたしに従って来なさい。」


🍀これは耳を疑ってしまうような言葉ですね。

財産をすべて売り払うなんて、なんと厳しいことを要求されるのだろう、と思ってしまいます。

でも、これは全ての人に求めておられることではありません。

財産を持つことが悪いことでもありません。


🍀では、なぜイエス様は彼にこのようなことをおっしゃったのでしょう。

問題は、「財産が神より大切になってしまうこと」です。

青年にとって財産は、神より大きな偶像になっていたのです。

青年は律法を守り、道徳的にも立派でした。
しかし、イエスが「あなたの持ち物を売り払いなさい」と言われたとき、

「彼は悲しみながら去った」(22節)のです。

これは、
彼の心の中心に財産があったことを示しています。


🍀イエス様は彼の心の最も深い部分を見抜き、「あなたの偶像を手放しなさい」と促されたのです。

イエス様はすべての人に同じことを要求していません。

「あなたの心を支配しているものを、神より上に置かないでほしい」

とおっしゃっているのです。


🍀永遠のいのちは「行い」で買えるものではありません。

青年は「何をすれば永遠のいのちを得られますか」と尋ねましたが、

  • 良い行い
  • 財産の量
  • 犠牲の大きさ

で得られるものではありません。

永遠のいのちは神との関係から始まります。

神を第一にする心から始まります。

だから「それを妨げているものを手放しなさい」

と教えているのです。


🍀では、私たちにが手放すべきものは何でしょう。

必ずしもお金とは限りません。

  • 評価されたい気持ち
  • プライド
  • コントロールしたい思い…など

イエス様は、人それぞれに、
「あなたの心を支配しているものを手放して、私に従ってきなさい」
と招かれます。


🍀このお話を読んで雅歌8:6を思い出しました。

愛は…強く、ねたみは黄泉のように激しいからです。

その炎は…すさまじい。

大水もその愛を消すことができません。


神様の私たちへの愛が、激しく燃え上がる妬みの炎にたとえられています。

旧約聖書では、神様がイスラエルを「妻」と呼んでおられ(ホセア書 エゼキエル16章)、

新約聖書では、キリストが教会を「花嫁」と呼んでいます(エペソ5章、黙示録19章)。

神様は私たちを「独占したい」と願うほど、深く激しく愛しておられるのです。


🍀だからイエス様は青年に呼びかけておられます。

「あなたの心を奪っているものを手放して、
私と本当に結ばれてほしい」

花婿のような愛の呼びかけです。

青年にとって財産は、
神との関係を妨げる“別の恋人”のような存在でした。

イエス様は、

嫉妬のような深く強烈な愛で、彼を本気で招いたのです。


🍀ただし、イエス様は私たちの自由を尊重されます。

青年が「悲しみながら去った」時、

イエス様は追いかけて無理に引き止めることはなさいません。

私たちは、花婿イエス様の愛の招きにどうこたえるのでしょう。

自分の手が握っているものを手放して、イエス様の愛の中に飛び込んで行けるのか、探られます。

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